2015年5月19日火曜日

共同担保目録の全部抹消という記載

複数の不動産に抵当権が設定された場合、共同担保目録が作成されます。
そして、その抵当権を抹消した場合の共同担保目録ですが、

例えば、甲管轄内のA、Bという2筆が共同担保であり、当該2筆を抹消すると、
共同担保目録の各物件には下線が引かれ、目録の一番下に
「平成○○年○○月○○日全部抹消」と記載されます。
目録のこの部分を見れば、全ての不動産の謄本を取得し確認せずとも、当該抵当権は
全て抹消されたことがわかる訳です。

それに対し、甲管轄内のA、Bという2筆が、他管轄である乙管轄内のC、Dという
2筆が共同担保である場合に、甲管轄内のA、B2筆のみを抹消した場合は
どうでしょうか。

A(またはB)の謄本を共同担保目録付きで取得すると、やはり「平成○○年○○月○○日
全部抹消」と記載が入ります。ただし、よく見ると他管轄C、Dの物件には下線が
引かれていません。

共同担保目録の「全部抹消」という記載は、あくまでも当該管轄内の物件が全て
抹消されたか否かを基準として記載されるものであり、間違っても全管轄の全ての
物件が抹消されたことではないため注意が必要です。

ちなみに、当該事例でC(またはD)の共同担保目録にはA、Bの物件に下線が引かれ
ますが、「全部抹消」とは記載されません。

登記完了後のチェックで少し気になった点でした。

2014年11月19日水曜日

監査役の監査の範囲に関する登記

改正会社法 (会社法の一部を改正する法律)が平成26年6月27日公布され、
平成27年4月もしくは5月に施行予定とされています。

その中で、多くの中小企業に関するものが「監査役の監査の範囲に関する登記」です。

監査役は、取締役の職務の執行を監査するわけですが、当該監査には業務監査と

会計監査の2種類があり、一定の会社においては、監査役の監査の範囲を会計に

関するものに限定する旨を定款上定めることができます。

 しかしながら、現行の登記はただの“監査役”としてのみ登記されます。

つまり、登記簿を見ただけでは、業務監査も含む監査役なのか、会計監査のみの

監査役なのか判別がつかず、この点が問題とされておりました。

 改正会社法では、会計監査のみの監査役の場合は当該定款の定めも

登記しなければならなくなりました。

 ただし、登記には登録免許税がかかるわけで、その点に配慮してからか

「法案施行後最初に監査役が就任又は退任するまでは、会計監査のみである旨の登記は

先送り可能」とする経過措置が予定されています。

 
 
 
 
 ちなみに、面倒だから定款変更して、業務監査も含む監査役にしてしまえば登記を

しなくても済むのでは、と考えないでください。このような定款変更をすると、現在の監査役は

任期満了となり、新たな監査役を選任する必要があります。結局登記は必要となりますので。

ご注意ください。